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沖縄本島から南西に約400km、日本最南端に近い場所に浮かぶ石垣島。その周囲には、色とりどりのサンゴが織りなす美しい海が広がっています。
石垣島にはどんな種類のサンゴがいるのか、どこに行けば観賞できるのか、これから旅行を計画している方の中には気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、石垣島のサンゴ礁の特徴から見られる種類、おすすめの観賞スポット、ツアーの選び方、そして近年課題となっている白化現象や保全の取り組みまで、初めての方にもわかりやすく順を追って紹介します。旅の計画を立てる際の参考にしてみてください。
目次

サンゴ礁と一言でいっても、その成り立ちや生き物としての性質は意外と知られていません。
まずは石垣島のサンゴ礁がどのような場所で、なぜこれほど豊かな海が広がっているのか、基本的な特徴から見ていきましょう。
サンゴは植物のように見えますが、実はイソギンチャクと同じ刺胞動物の仲間です。ポリプと呼ばれる小さな個体が集まって群体をつくり、その体内には褐虫藻という藻類が共生しています。
褐虫藻は光合成を行い、その栄養をサンゴに提供する一方、サンゴ自身も触手を使って海中のプランクトンを捕まえて食べることができます。この二重の栄養摂取の仕組みによって、サンゴは効率よく成長し、長い年月をかけて硬い石灰質の骨格を積み重ねていきます。
こうして積み重なった骨格が集まってできあがったものが、サンゴ礁と呼ばれる地形です。海底にじっと固着しているため一見動物には見えませんが、れっきとした生き物の営みによって形づくられた地形だと考えると、見え方が少し変わってくるかもしれません。
サンゴが暮らす海は生物の多様性を支える場所であると同時に、波の力を和らげる防波堤としての役割も担っています。
石垣島の周辺は、フィリピン海域に近く黒潮の影響を強く受ける海域です。暖かい海水が年間を通じて流れ込むことで、サンゴが育ちやすい水温が保たれています。
また、石垣島と西表島の間には日本最大級のサンゴ礁域である石西礁湖が広がっており、水深10〜20mほどの比較的深い地形が発達していることも特徴のひとつです。日本のサンゴ礁の多くは島の周囲に浅い礁池が広がる裾礁と呼ばれる形が中心ですが、石西礁湖はそれよりも深く発達した堡礁に近い形をしています。
こうした地理的な条件が重なり、石垣島の海には多様な生き物が集まる豊かな生態系が形成されているのです。魚類だけでなく、貝類や甲殻類など数え切れないほどの生き物が、この環境の恩恵を受けて暮らしています。
石垣島の周辺海域には、約360種類ものサンゴが生息しているといわれています。これは日本全体で確認されているサンゴの半数近くにあたる数字です。
世界最大のサンゴ礁として知られるオーストラリアのグレートバリアリーフでも確認されているサンゴは330種ほどとされています。
比較すると石垣島を含む八重山諸島の海が、緯度の高い場所にありながらいかに豊かな種の多様性を誇っているかがわかります。さまざまな色や形のサンゴが集まる景色は、まさに海の中の楽園といえるでしょう。

一口にサンゴといっても、その形や生態はさまざまです。
ここでは、石垣島の海で実際によく見られる代表的な種類を紹介します。観賞する際の見分け方の参考にしてみてください。
ミドリイシは石垣島の海でよく見られる、いわゆる典型的な造礁サンゴです。平らに広がる基盤から多数の枝が分岐して伸びており、強固な石灰質の群体をつくります。
褐虫藻と共生しているため、褐色や淡い紅色、淡い青色など多彩な色合いを見せてくれるのも特徴です。環境の変化への適応力が比較的高いことから、観賞用としても人気があります。
海の中に枝分かれした形が広がる景観は、まるで水中に森が広がっているかのような雰囲気を感じさせてくれます。石垣島のサンゴ礁を構成する主要な種のひとつといえるでしょう。
テーブルサンゴは、その名の通り平たいテーブルのような形をしたサンゴです。浅い海域に生息しており、限られた日光を効率よく受け取れるように、あえて平らな形へと成長していきます。
川平湾や米原ビーチなど、透明度の高いエリアでよく観察できる種類で、石西礁湖では広大なテーブルサンゴの群落を見ることもできます。
魚やエビといった小さな生き物たちの隠れ家としての役割も果たしており、生態系を支える存在のひとつです。青の洞窟周辺でもこの独特な景観を楽しめます。
ハマサンゴは丸い大きな塊のような形をしたサンゴで、その姿から「脳サンゴ」と呼ばれることもあります。成長のスピードが非常にゆっくりで、数百年という単位で少しずつ大きくなっていきます。
環境が整った場所であれば非常に長い寿命を持つことでも知られ、ストレスに強い個体では1000年を超える年月を生き続ける例もあるとされています。
石垣島の海に何百年も居座り続けるハマサンゴを目にすると、サンゴ礁がまさに海の中の生きた記録であることを実感できるはずです。
アオサンゴは八放サンゴの仲間で、ポリプが密に集まった大きくて硬い群体をつくり、サンゴ礁を形づくります。複数の群体が集まると全体としては褐色に見えますが、ポリプの内部にある骨格が青みを帯びていることから「アオサンゴ」という名前がついたといわれています。
石垣島の東海岸に位置する白保海岸には、北半球で最大規模かつ最古とされる世界的にも貴重なアオサンゴの群集が広がっています。絶滅の恐れがある種として指定されており、地域全体で守っていく取り組みが進められている、石垣島を象徴するサンゴのひとつです。
実際に潜ってみると、その群集の規模の大きさと美しさに圧倒される旅行者も少なくありません。

石垣島には、サンゴ礁を間近で楽しめるスポットがいくつも点在しています。
それぞれのエリアで見られる景色や特徴が異なるため、目的や体験したい内容に合わせて選んでみてください。
白保海岸は新石垣空港から車で約5分というアクセスの良さも魅力のビーチです。世界的にも珍しいアオサンゴの群生地として知られ、70種以上のサンゴと豊富な熱帯魚が生息しています。約10kmにわたる天然の白い砂浜が広がっていることも見どころのひとつです。
シュノーケリングツアーも数多く開催されており、間近で巨大な群集を見ると、その規模の大きさに驚くはずです。白保では地域の団体によるサンゴの保全活動や研究も盛んにおこなわれており、石垣島のサンゴ礁を語るうえで欠かせない拠点となっています。
石垣島と西表島の間に広がる石西礁湖は、東西約20km、南北約15kmにも及ぶ国内最大規模のサンゴ礁帯です。400種を超える造礁サンゴが群生し、数え切れないほどの海洋生物が暮らしています。
沖合に位置しているため個人でのアクセスは難しく、基本的にはツアーを利用して訪れる場所です。サンゴの群落が天然の防波堤の役割を果たしているため波が穏やかで、シュノーケリング初心者でも安心して楽しめます。
運が良ければウミガメやマンタと出会えることもあり、豊かな海の代名詞ともいえるエリアです。国立公園にも指定されている海域で、石垣島を訪れたなら一度は目にしておきたい景色のひとつといえるでしょう。
石垣島を代表する景勝地のひとつである川平湾は、透明度の高い海とテーブルサンゴが織りなす景観で知られています。遊泳が禁止されている区域もありますが、グラスボートに乗れば、海に入らなくても水中の様子をゆったり観賞できます。
エメラルドグリーンの海面と点在するサンゴの様子は、写真映えするスポットとしても人気です。潮の流れが速い場所もあるため、周辺で遊泳する場合はツアーガイドの案内に従うようにしましょう。
米原ビーチは石垣島の北部に位置し、島の中でも人気の高いシュノーケリングスポットです。透明度の高い海に色とりどりのサンゴ礁が広がり、熱帯魚と一緒に泳げる体験ができます。
ビーチからすぐに海に入れる手軽さもあり、家族連れにもおすすめの場所です。浅瀬でもサンゴや魚を観察できるポイントが多く、シュノーケリングが初めての方でも楽しみやすいエリアといえます。
シャワーなどの設備が整っている点も旅行者にはうれしいポイントです。空港からのアクセスも良く、旅程の合間に立ち寄りやすい点も選ばれている理由のひとつです。
石垣島から西へ約10kmの場所には、小浜島と竹富島の間に浮かぶ小さな無人島があります。潮の満ち引きによって姿を変えることから「幻の島」と呼ばれ、ツアーでのみ上陸できる特別な場所です。
周辺の海にはサンゴ礁が広がっており、シュノーケリングスポットとしても知られています。地図には載らない砂の島に立ちながら、その周囲でサンゴや熱帯魚を観賞できる、石垣島ならではの体験ができます。石西礁湖とあわせて訪れるツアーも多く用意されています。

サンゴ礁を実際に見るには、シュノーケリングやダイビングのツアーに参加するのがもっとも確実な方法です。
ここでは、自分に合ったツアーを選ぶためのポイントを紹介します。
水面に浮かびながら海中をのぞくシュノーケリングは、泳ぎに自信がない方や小さな子供でも参加しやすいアクティビティです。一方、体験ダイビングは水中により深く潜れるため、サンゴや魚をさらに近い距離で観察できます。
どちらもプロのガイドが同行するツアーがほとんどなので、初めての方でも安心して参加できます。時間や体力、見たい景色に合わせて選んでみるとよいでしょう。両方を組み合わせた1日ツアーを用意している会社もあります。
小さな子供や海にあまり慣れていない方が参加する場合は、少人数制やファミリー向けをうたっているツアーを選ぶと安心です。浅瀬をメインにしたコースであれば、無理なくサンゴや熱帯魚を観察できます。
事務所での説明や器材の使い方をしっかり教えてくれるかどうかも、選ぶ際のひとつの目安になります。口コミやツアー内容を事前に確認しておくと、当日のイメージがつかみやすくなるでしょう。年齢や泳力に応じて対応してくれるショップを選ぶと、より安心して参加できます。
石垣島の海は季節や天候、潮の満ち引きによって表情を大きく変えます。夏場は海況が安定しやすい一方、梅雨明け前後にはカーチバイと呼ばれる強い風が吹く時期もあり、訪れるエリアが制限されることもあります。
風が強い日でも比較的穏やかな海況を保ちやすいエリアを案内しているツアー会社もあるため、天候に左右されにくいプランを提案してもらえるかどうかも確認しておくと安心です。事前に複数の候補エリアを持っているガイドを選ぶと、当日の海況に応じて柔軟に対応してもらいやすくなります。
予約時に希望のシーズンを伝えておくと、より満足度の高いプランを提案してもらいやすくなるでしょう。

美しい石垣島のサンゴ礁ですが、近年はさまざまな環境の変化にさらされています。
最後に、サンゴ礁が直面している課題と、それを守るための取り組みについて紹介します。
白化現象とは、サンゴの体内に共生する褐虫藻が失われ、白い骨格が透けて見えるようになる現象です。主な原因として、海水温の異常な上昇による褐虫藻の死滅が挙げられます。
白化した状態がしばらく続いても生き続けることはできますが、その状態が長期間におよぶとサンゴは死んでしまいます。海に流れ込む赤土や生活排水による水質の変化も、白化を引き起こす要因のひとつとされています。
台風が少ない年には海水温が下がりにくく、大規模な白化が起きやすくなることも報告されています。
石垣島では、地元住民や市民団体、漁業や観光関係者、研究者、行政機関など多様な立場の人々が協力し、サンゴ群集の再生に向けた取り組みを進めています。石西礁湖の保全活動もそのひとつです。
サンゴの状態を継続的に調査したり、地域の子供たちに向けた学習機会を設けたりと、活動の形はさまざまです。石垣島で生まれ育ったサンゴの幼生が海流に乗って沖縄本島や本土まで運ばれていくこともあり、この海を守ることは日本全体のサンゴを支えることにもつながっています。
ある海域で白化被害が起きても、離れた場所から新たな幼生が届くことで少しずつ回復していく力も、サンゴ礁には備わっています。
サンゴ礁を訪れる旅行者にも、できることがあります。たとえば、日焼け止めの成分がサンゴに影響を与える可能性が指摘されているため、環境に配慮したタイプを選ぶのもひとつの方法です。
また、シュノーケリングやダイビングの際にサンゴを踏んだり触れたりしないよう注意することも、海を守ることにつながります。ガイドの案内を守りながら、無理のない範囲で海を楽しむ姿勢が、これからも美しい景色を残していくための一歩になるはずです。

石垣島のサンゴ礁は、ミドリイシやテーブルサンゴ、アオサンゴなど多様な種類が織りなす豊かな生態系です。
白保海岸や石西礁湖、川平湾など、それぞれ異なる魅力を持つスポットが点在しており、シュノーケリングやダイビングを通じて間近で観賞できます。
一方で、白化現象などの課題に直面していることも事実です。海の変化に目を向けながら、次の世代にも受け継がれていく美しい景色として、石垣島のサンゴ礁を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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